29部屋目:「衝撃の結末が待っている」
『衝撃の結末が待っている』
『予想外の結末に、きっとあなたは度肝を抜かれる』
こんな宣伝をしている映画や小説の帯ってあるじゃないですか。私あれ嫌いなんですよね。
こういう作品って、
「衝撃の結末が存在するという事実」と「その結末の内容」
の2段構えで、より面白さや衝撃度が増すと思うわけですよ。なのにこういう宣伝をすると、その前者の衝撃を放棄してしまうことになるわけですね。
ジェットコースターだって「落差日本一!」と謳われているものと、「全然落ちませんよ。お子様でも安心です」と書いてるのに実は滅茶苦茶落ちるやつとでは後者の方が怖いじゃないですか。
お化け屋敷でお化けに遭遇するのと、最寄駅から家までの帰り道で電柱の影からお化けが現れるのでは後者の方がビックリするじゃないですか。
まあそういうことですよ。私はジェットコースターもお化け屋敷も大嫌いです。
私はその作品の魅力というものを最大限に味わいたい人間なので、その宣伝によって本来享受できるはずの面白さが減ってしまうのが嫌なわけです。
ただ、マーケティングとしてはやはりこういう宣伝は必要だとも思ってしまうのですよね。作品の面白さを享受するためにはまずその作品に出会わなければいけないわけで、そういう意味ではこの謳い文句は人の興味を惹くのに大きな役割を発揮するでしょう。事実私も、こういった文字列には目を惹かれてしまいます。
だからまああれです。そういったことを匂わせず、ただ面白い作品をオススメしてくれる人を募集しているというやつです。
ああでもダメだ。もしこの記事を読んでオススメしてくれたのだとしたら、その事実ゆえに私はその作品の展開を疑ってしまう。この記事を書いた時点で詰んでいたのか。八方塞がりだ。もうダメだ。ダメダメだ。そっか。ダメダメか。
願わくば、私自身がこの記事を忘れるくらい時間が経ったときに、「これ、何も聞かずに読んでみて(観てみて)。面白いから」といって1つ作品を差し出してくれる人が現れんことを。